急な用事ができても安心。チンチラのお世話をお願いできる「馴染みの相手」をつくっておくススメ
急に用事ができたりして留守にしなければならなくなったとき、大切なチンチラのお世話をどうするか決めていますか?
もう春もそこまできていて、旅行のシーズンもやってきます。
「旅行にいくつもりはないし・・」と思っていても、予期せぬ事態で家を留守にしなければならない場面もでてくるかもしれません。
今日は「チンチラに留守番をさせる」ことについて書いておきたいと思います。
目次
はじめにチンチラに留守番をさせるリスクを理解しておく必要があります
チンチラにどうやって留守番をさせようか・・?と考える前に、ものすごく大切なことを頭に入れておいてもらわないといけません。
それは、チンチラを留守番させるということは、命に係わることだということです。
大袈裟だと思うかもしれませんが、私自身、以前飼っていたチンチラを留守にするために預けたことが引き金となって死なせてしまっています。
原因は、環境の急激な変化によるストレスによって預けた先で食欲不振となり、胃腸の活動が低下し、活動が低下した胃や腸にガスが滞留し、臓器の膨満が重度の疼痛を引き起こしたことです。
もう数年が経ちますが、今でも預けたときの光景が目に焼き付いています。
自分自身がとても辛い思いをしているので、私のブログを参考にしてくださっている皆さんにも、皆さんが愛しているチンチラちゃんにも先代と同じような辛く苦しい思いは1秒もしてほしくありません。
完全な草食動物であるチンチラは、主食である牧草などの繊維質を後腸で発酵させることで栄養を摂取していて、腸内細菌はとても重要な役割をしています。
ストレスを感じると、胃腸の活動を低下させるだけではなく、腸内細菌のバランスやリズムも大きく狂わせることがあります。
「チンチラに留守番させる」ことを考えるときに、室温管理や世話の方法も大切ですが、それだけでは不十分で、重要なポイントはいかにして不安を感じさせず、ストレスを増やさないことができるかです。
そのために、いつ急な用事が入ってしまったとしても十分に落ち着いて準備ができるように、事前に考えて用意しておくことがとっても大切です。
チンチラだけで留守番させることはできる?
「チンチラだけで留守番させることはできるのかなぁ・・? 2、3泊ではなくて、1泊だったらどうなんだろう??」と考えたことはありませんか?
想像してみると、最低でも必ずクリアしなければならないことは、
適切な室温管理 | |
牧草をきらさない | |
水をきらさない | |
オシッコをした場所の衛生面の管理 |
の4つです。
ペレットと砂浴びも加えたいところですが、「最低限必要なこと」という条件からあえて外しました。
「わが家の動物・完全マニュアル チンチラ」(Richard C.Goris 総監修 霍野晋吉 医学監修 / 株式会社スタジオ・エス発行 / 2000.10)によると、チンチラだけで留守番させる限界は、温度管理がきちんとできていることが前提で、夏場は1泊程度、冬でも2泊程度と書かれています。
しかし実際のところ、牧草をたっぷり与える、給水ボトルを複数個つけるなどの工夫をしたとしても、一泊以上留守にする場合には、誰かの協力なしにチンチラだけでお留守番させるのは難しいと思います。
一番心配なのは、「牧草」です。
たっぷり与えていったとしても、その後どのような状態になってしまっているのかわかりません。床に散らかして踏みつけていたり、その上でオシッコしてしまっていたりすると、すすんでは食べてくれません。
牧草を食べずに長時間待っている可能性が高いことを考えると、消化管に与える悪影響が怖いです。
留守にしなければならなくなったときにチンチラのお世話をお願いするための選択肢
では、家を留守にするときにチンチラをどうしたらよいかを考えると、選択肢としてはざっくりいうと、
家に世話をしに来てもらう。 | |
預ける。 |
このどちらかだと思います。
どちらの場合も相手がいることなので、「どこに預けるのか」、「誰に世話をしにきてもらうのか」を決めなければなりません。
家に世話をしに来てもらう
家に世話をしにきてもらうことを選択した場合は、移動させる必要がなく、いつもの住み慣れた場所なので、チンチラにとっては極端な環境の変化によるストレスを与えずにすみます。
一方で、世話をしにきてもらう時間帯を除いて独りぼっちにさせてしまうことになるので、万が一何かあったときに対応できないことと、寂しがり屋な子には不安な気持ちにさせてしまう可能性も考えられます。
お願いする相手としては、近くに住んでいる知人も考えられるし、ペットシッターさんも考えられます。
最近では、犬や猫だけではなくて、小動物も対応してくれるペットシッターさんも増えてきているようです。
どちらの場合でも、事前に家に来てもらい、室温管理のことも含めて、どのように世話をしてほしいのかを打ち合わせして、普段の健康状態についても説明しておくことが不可欠です。
チンチラを預ける
チンチラを預けることにした場合、預け先として考えられるのは、
小動物(げっ歯類)専門のペットホテル | |
チンチラを診てもらえる動物病院 |
のどちらかがよいと思います。
選択肢の中に「知人」を入れていないのには理由があって、「何かあったときにお互いに辛い思いをする」からです。
メモしておかなかったので動物病院名まではわからないのですが、「知人に預けたウサギが背骨を骨折して来院」という症例の記録がありました。
預かった方が抱っこをしようとして落としてしまい、背骨を骨折してしまったのだそうです。
その記録の最後は、「予後は悪い」と書かれていました。
預ける側も、預かる側も、当初は想像すらしていなかったことが現実に起きてしまい、お互いにとても辛い思いをしたと思います。
自分にとっては知人でも、預けられる子からしたら「知らない人間」に変わりはありません。
緊張してストレスを感じている状況にあるわけですから、プロにお任せした方が安心できます。
どの選択肢が最適かはチンチラの個性・健康状態によって異なります
住み慣れたお家でお留守番をしてもらって、食餌やケージの掃除などのお世話をしに来てもらうのがよいのか、それともペットホテルに預けたほうがいいのかは、チンチラによって異なります。
とても寂しがり屋で怖がりな子だったら、保育園にいくようなイメージでペットホテルで過ごす方が気が紛れるかもしれないし、逆にケージで過ごす時間が好きな子だったら、必要なお世話はペットシッターさんにお願いして、家で待っていてもらう方が時間が過ぎるのが早く感じられてよいかもしれません。
自分たちにとって都合のよい相手にお願いするのではなくて、チンチラのことを優先してお願いする先を決めてほしいと思います。
いつも一緒に過ごしている飼い主が傍にいないのですから、少なからず何らかのストレスを与えてしまうのは避けられません。
考える際には、ストレスをできるだけ増やさないで済む方法を考えてあげるのが一番ですが、これはあくまでチンチラが十分に健康であることが前提です。
もしも、ちょっとでも体調に不安がある場合には、「チンチラを診てもらえる動物病院に預ける」のがベストです。
動物病院で過ごす時間は緊張するし、ストレスを増やしてしまうと思いますが、何かあったときにもすぐに治療にとりかかってもらえるのが心強いです。
検査入院だと心を鬼にして、預けている間にあわせて健康診断をお願いするという方法もあります。
チンチラの個性を一番理解しているのは飼い主であり家族である自分です。色んな場面を想像して、ベストな選択肢を選んであげてほしいと思います。
どの選択肢にするかが決まったら、予行練習を行いましょう
チンチラに留守番させるときのポイントは、いかにして不安を取り除きストレスを増やさないことができるかだとお話しました。
「うちの子はペットホテルに預けるほうがいいかな。」「うちの子はペットシッターにお世話をお願いしよう。」などと、留守にしなければならないときにチンチラのお世話をどうするかを決められたら、是非、何も用事がないときに予行練習をしてほしいと思います。
チンチラのお世話をペットシッターさんにお願いしようと決めた場合には、予行練習は難しいかもしれませんが、問い合わせをして事前に説明をしてもらうことはできます。
問い合わせをしたときの対応の仕方ひとつをとっても、安心してお任せできるところなのかどうかの判断材料にすることもできます。
「環境の急激な変化」に加えて、「精神的な不安」がストレスをより大幅に増やす原因になります。
いくら、私たちが「すぐに戻ってくるからね。」と説明しても、チンチラにとっては何がなんだか訳がわかりません。
知らない場所で、知らない人と一緒に過ごす時間は、1分が1時間にも2時間にも感じられ、不安な気持ちを掻き立てます。
「いつ迎えにきてくれるんだろう。」「迎えにきてくれないかもしれない。」「もしかしたら今日からずっとここで生活することになったのかもしれない。」と、悪いほうに悪いほうに想像を膨らませて、どんどんストレスを増やしていきます。

でも、「この前は迎えに来てくれた。」と経験をしていたらどうでしょう? 不安な気持ちを減らすことができるのではないでしょうか??
「このお兄ちゃん、この前も僕の世話をしてくれたな。。」と、お世話をしてくれる人とも面識があったら、「僕のお世話係なのかな?」と良い方向に想像するもとになります。
さらに、お世話をしてくれる方と私たちが笑顔で話しているのをチンチラが見てくれれば、これから怖いことが起こるんだとも想像しにくくなります。
預けられる場所が、「既に過ごしたことがある場所」。世話をしてくれる人が「前にも自分の世話をしてくれた人」。
チンチラに留守番をさせるときにお世話をお願いする先を、事前に経験を積んで、チンチラにとって「馴染みの相手」にしておくと安心できます。
私は、このことをすごく重要に思っていて、先代にも同じことをしてあげられていたら最悪の事態は避けることができたんじゃないかと今でも悔いています。
お世話をしてくれる人を「馴染みの相手」にすることができれば、自分も「前回大丈夫だったから、今回も頑張ってくれるだろう。」と信じることができます。
そして、チンチラにとっても、「また迎えに来てくれる」と信じることができます。
不安に思わずに信じていられること、緊張をほぐしてあげられることがストレスを増やさない何よりも効果がある薬になると思います。