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牧草の栄養成分のまとめ[日本標準飼料成分表(2009年版)]牧草種や生育段階による違いを一覧表で比較してみよう!

牧草の栄養成分のまとめ(日本標準飼料成分表2009年版)

農林水産省図書館で日本標準飼料成分表 ( 2009年版 )のコピーをとらせて頂いたのは2016年のこと。

新刊が発行されたら購入したいな~と思って問い合わせをしてみると、新刊が発行される順番は、乳牛の飼養標準 → 肉用牛の飼養標準 → 日本標準飼料成分表の順で、2017年に乳牛の飼養標準が発行されましたが、肉用牛の飼養標準は2022年6月現在もまだ発行されていません。

新刊が発行されても牧草に関してはそんなに内容が変わらないと思うとのお話もあり、日本標準飼料成分表 ( 2009年版 )を購入してみたところ、私がコピーをとらせて頂いた一般成分組成のページの他にも、参考にしたい情報がいくつも載っていました。

日本標準飼料成分表の新刊発行にはまだまだ時間がかかると思われるので、日本標準飼料成分表 ( 2009年版 )を参考に、牧草の栄養成分についてまとめたいと思います。

なお、こちらは牧草の栄養成分についてまとめたリニューアル記事となります。過去に紹介しきれていなかった内容も含め、並び替え(ソート)可能な表を作成して紹介します。

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はじめに

日本標準飼料成分表(2009年版)

下記にまとめる牧草の栄養成分表は、全て社団法人中央畜産会発行の「日本標準飼料成分表(2009年版)」に記載の成分値を参考に作成しています。

「日本標準飼料成分表(2009年版)」には牧草関連の成分値が(a)生草、(b)サイレージ、(c)乾草の3項目に分けて記載されていますが、私達が普段チンチラに主食として与えている牧草は(c)乾草にあたるので、当記事では(c)乾草の項目に掲載されている内容を紹介します。

(c)乾草では、国産乾草は生育段階によって分けて記載されており、輸入乾草の多くは粗繊維(CF)や粗蛋白質(CP)の含量を基準としたグレードで分けて記載されています。

当記事では項目ごとにソート機能を使って比較しやすくしたいと思うので、国産乾草と輸入乾草を別表にせず牧草種ごとに順番に番号を振り、一つの表にまとめることにしました。

縦と横軸の項目部分は固定して、表示幅や高さを超える部分は縦・横スクロールできるようになっています。

なお、「日本標準飼料成分表(2009年版)」では、一般成分組成表は原物中と乾物中の2段に分けて記載されているのですが、別表は全て乾物中の値が記載されていることから、一般成分組成表も乾物中(飼料中に含まれる水分以外の成分量)の値を表記しています。

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牧草(乾草)の栄養成分表

これから紹介する牧草の栄養成分の一覧表とそれぞれに記載されている画分は下記のとおりです。

1.

一般成分組成表(乾物中)

乾物(DM)・粗蛋白質(CP)・粗脂肪(EE)・可溶無窒素物(NFE)・粗繊維(CF)・酸性デタージェント繊維(ADFom)・中性デタージェント繊維(NDFom)・粗灰分(CA)

2.

別表

無機質含量(乾物中)

乾物(DM)・カルシウム(Ca)・全リン(P)・マグネシウム(Mg)・カリウム(K)・ナトリウム(Na)・塩素(Cl)・イオウ(S)・鉄(Fe)・銅(Cu)・コバルト(Co)・亜鉛(Zn)・マンガン(Mn)・フッ素(F)・モリブデン(Mo)・ヨウ素(I)

酵素分析法繊維画分の含量(乾物中)

乾物(DM)・細胞壁物質(OCW)・高消化性繊維(Oa)・低消化性繊維(Ob)・中性デタージェント繊維(NDFom)・酸性デタージェント繊維(ADFom)

糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)と繊維成分含量(乾物中)

乾物(DM)・糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)・中性デタージェント繊維(NDFom)・酸性デタージェント繊維(ADFom)・粗繊維(CF)

アミノ酸含量(乾物中)

乾物(DM)・粗蛋白質(CP)・アルギニン・グリシン・ヒスチジン・イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・シスチン・フェニルアラミン・チロシン・トレオニン・トリプトファン・バリン・セリン・プロリン・アラニン・アスパラギン酸・グルタミン酸

ビタミン含量(乾物中)

乾物(DM)・全カロテン・ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK・チアミン・リボフラビン・パントテン酸・ナイアシン・ピリドキシン・ビオチン・葉酸・コリン・ビタミンB12

一般成分組成表に記載されている乾草には、イネ科の乾草には「G」から始まる番号を、マメ科の乾草には「L」から始まる番号を振り、別表と共通の番号としました。

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一般成分組成表(乾物中)

一般成分組成表で注目して見てもらいたいと思うのは、牧草の生育段階が進むにつれて蛋白質(CP)や繊維(CF、ADFom、NDFom)の含量がどのように変化していくのかと、牧草種によって異なる繊維量と蛋白質のバランスです。

チンチラの主食は繊維だから繊維の豊富な牧草を選びたいな~と、繊維含量だけに着目して比較してみると、ストローや結実期の牧草種が上位にあがってきますが、繊維含量が増える分蛋白質が減って、栄養価が下がってしまうので、繊維量が多ければ多いほどよいというものではありません。

チモシーなどイネ科牧草の収穫適期は、牧草の穂が点々と観察される「出穂始期」から、伸びた茎の半分程度に穂が観察される「出穂期」までの10日間程度とされていて、酪農家さんの間ではより栄養価の高い、穂が出る数日前の「穂ばらみ期」から収穫を始めることも奨励されています。

輸入チモシーを見ても、粗繊維が32%より少ないものがグレードのトップにあることから、【 G01 チモシー(1番草・出穂前)】、【 G02 チモシー(1番草・出穂期)】、【 G08 輸入チモシー(CF<32%)】あたりを良いお手本として、他の牧草と比較してみるのがよいと思います。

No.
飼料名
乾物
DM
(%)
粗蛋白質
CP
(%)
粗脂肪
EE
(%)
可溶無窒素物
NFE
(%)
粗繊維
CF
(%)
酸性デタージェント繊維
ADFom
(%)
中性デタージェント繊維
NDFom
(%)
粗灰分
CA
(%)
G01 チモシー(1番草・出穂前) 89.4 15.0 4.0 43.2 26.5 31.1 55.6 11.3
G02 チモシー(1番草・出穂期) 85.9 10.1 2.8 45.9 33.6 39.7 64.8 7.6
G03 チモシー(1番草・開花期) 85.2 8.0 2.2 47.8 36.2 42.7 68.1 5.9
G04 チモシー(1番草・結実期) 81.3 7.0 2.5 43.9 38.5 45.5 71.0 8.1
G05 チモシー(再生草・出穂前) 87.3 12.9 3.2 49.6 25.4 29.8 54.2 8.8
G06 チモシー(再生草・出穂期) 83.5 9.8 2.8 46.8 33.3 39.3 64.3 7.3
G07 輸入チモシー(全サンプルの平均値) 88.9 8.1 2.3 48.2 34.3 38.8 66.8 7.1
G08 輸入チモシー(CF<32%) 88.8 9.6 2.6 50.1 29.7 34.0 59.5 7.9
G09 輸入チモシー(32%≦CF≦37%) 88.9 7.6 2.1 49.2 34.3 37.9 66.6 6.7
G10 輸入チモシー(CF>37%) 88.9 7.0 2.0 44.5 39.8 43.2 71.5 6.7
G11 輸入チモシーストロー 90.3 6.5 2.1 51.7 32.9 44.9 69.9 6.8
G12 オーチャードグラス(1番草・出穂前) 93.8 16.5 5.3 45.9 21.9 25.4 49.6 10.2
G13 オーチャードグラス(1番草・出穂期) 83.7 13.0 3.3 41.9 33.3 39.3 64.4 8.4
G14 オーチャードグラス(1番草・開花期) 84.4 10.5 2.6 41.9 37.6 44.4 69.9 7.3
G15 オーチャードグラス(1番草・結実期) 83.8 5.8 1.3 49.9 38.5 42.7 71.0 4.4
G16 オーチャードグラス(再生草・出穂前) 84.1 15.7 4.4 40.2 28.5 33.5 58.3 11.2
G17 オーチャードグラス(再生草・出穂期) 88.5 15.0 4.3 38.1 31.4 36.9 61.9 11.2
G18 イタリアンライグラス(1番草・出穂前) 84.3 19.5 4.6 48.4 17.9 20.6 44.5 9.6
G19 イタリアンライグラス(1番草・出穂期) 85.8 11.3 2.7 43.1 33.2 39.2 64.2 9.7
G20 イタリアンライグラス(1番草・開花期) 86.1 9.4 2.4 45.4 34.6 40.8 66.0 8.1
G21 イタリアンライグラス(1番草・結実期) 86.5 8.7 1.5 43.4 36.5 43.1 68.6 9.9
G22 イタリアンライグラス(年内刈・出穂前) 86.1 23.8 5.2 46.1 16.0 18.4 42.0 8.8
G23 イタリアンライグラス(再生草・出穂前) 85.9 18.5 4.0 42.8 23.1 26.9 51.1 11.6
G24 イタリアンライグラス(再生草・出穂期) 84.8 14.4 3.7 42.2 29.6 34.8 59.6 10.1
G25 イタリアンライグラス(再生草・開花期) 83.5 10.5 2.9 42.9 35.1 41.4 66.7 8.6
G26 イタリアンライグラス(再生草・結実期) 80.0 11.0 2.6 43.8 35.6 42.0 67.4 7.0
G27 輸入イタリアンライグラス 90.6 6.2 1.5 53.9 32.2 42.0 65.4 6.2
G28 輸入イタリアンライグラスストロー 91.1 6.2 1.6 52.7 33.7 42.5 70.0 5.8
G29 オーツヘイ(出穂前) 82.7 18.4 4.7 46.2 22.2 25.8 42.8 8.5
G30 オーツヘイ(出穂期) 84.1 14.6 4.0 45.9 27.6 32.0 53.2 7.8
G31 オーツヘイ(開花期) 81.2 12.4 3.7 41.1 35.2 40.9 67.9 7.5
G32 輸入オーツヘイ(全サンプルの平均値) 88.0 6.3 2.2 54.3 30.7 35.8 63.4 6.5
G33 輸入オーツヘイ(CF≦30%) 87.0 6.9 2.0 57.8 27.0 34.9 58.6 6.3
G34 輸入オーツヘイ(30%<CF<35%) 88.0 6.4 1.7 53.4 32.2 36.6 61.0 6.3
G35 輸入オーツヘイ(CF≧35%) 88.3 6.2 1.7 47.6 37.3 39.4 68.0 7.2
G36 バミューダグラス(2番草・出穂期) 86.9 15.2 2.1 57.7 13.6 12.4 38.7 11.5
G37 輸入バミューダグラス 90.9 8.9 1.6 56.9 24.7 31.6 68.9 7.9
G38 輸入バミューダグラスストロー 92.0 5.4 1.2 62.1 24.8 29.6 66.7 6.5
G39 スーダングラス(1番草・出穂期) 84.5 6.9 1.7 47.9 32.9 38.8 62.5 10.7
G40 スーダングラス(再生草・出穂期) 89.6 4.7 1.5 48.8 32.3 37.9 61.3 12.8
G41 輸入スーダングラス(全サンプルの平均値) 89.6 7.9 1.6 49.0 32.3 41.3 68.7 9.2
G42 輸入スーダングラス(CF≦30%) 88.4 9.9 1.7 50.7 27.9 34.8 64.2 9.8
G43 輸入スーダングラス(30%<CF<35%) 89.7 8.6 1.7 47.9 32.6 38.8 67.9 9.2
G44 輸入スーダングラス(CF≧35%) 86.9 6.6 1.5 45.1 37.4 41.3 70.7 9.4
G45 トールフェスク(1番草・出穂前) 83.7 13.4 2.5 45.6 27.4 32.0 56.8 11.1
G46 トールフェスク(1番草・出穂期) 84.5 9.3 1.7 45.7 35.6 42.0 67.3 7.7
G47 輸入トールフェスク 87.9 6.7 1.2 47.8 37.6 40.5 70.8 6.7
G48 輸入トールフェスクストロー 89.6 5.7 0.8 49.8 36.9 44.3 72.0 6.8
G49 カラードギニアグラス(出穂期) 93.0 8.5 1.8 44.5 34.5 40.5 67.6 10.6
G50 輸入カラードギニアグラス 90.6 11.8 2.3 46.1 31.1 35.7 70.7 8.8
L01 アルファルファ(1番草・開花前) 89.4 21.8 2.0 40.8 21.8 28.2 36.0 13.5
L02 アルファルファ(1番草・開花期) 83.2 19.1 2.4 40.1 28.7 35.5 44.1 9.6
L03 アルファルファ(再生草・開花前) 86.1 21.1 3.5 40.4 24.6 31.1 39.3 10.3
L04 アルファルファ(再生草・開花期) 86.9 19.1 2.5 39.7 29.6 36.4 45.1 9.1
L05 輸入アルファルファ(全サンプルの平均値) 88.8 19.1 2.0 40.6 28.3 33.0 42.2 10.0
L06 輸入アルファルファ(CP≧20%) 88.3 21.9 2.1 39.8 26.0 31.5 39.9 10.2
L07 輸入アルファルファ(17%<CP<20%) 88.0 18.5 1.9 40.2 29.3 34.0 44.1 10.1
L08 輸入アルファルファ(CP≦17%) 87.6 14.8 1.5 41.2 33.3 37.1 45.1 9.2
L09 輸入アルファルファヘイキューブ(全サンプルの平均値) 87.9 19.0 2.5 41.0 24.9 30.1 38.6 12.6
L10 輸入アルファルファヘイキューブ(良質なもの) 87.4 20.4 3.0 38.9 25.5 32.0 40.3 12.2
L11 輸入アルファルファヘイキューブ(普及品) 89.2 16.5 2.9 37.7 30.0 36.9 45.6 12.9
L12 輸入アルファルファミール(デハイ) 90.7 18.2 2.9 40.3 27.4 33.9 45.6 11.2
L13 輸入アルファルファミール(サンキュア) 90.6 17.5 2.5 41.8 26.8 33.4 41.8 11.3
L14 アカクローバ(1番草・開花期) 82.7 15.4 3.0 44.4 28.8 36.5 45.9 8.5
L15 アカクローバ(再生草・開花期) 82.5 16.1 3.2 43.2 29.6 37.2 46.8 8.0
L16 シロクローバ(開花期) 84.4 24.2 4.7 42.2 16.1 12.8

乾物(DM) : 飼料中に含まれる水分を除いた成分量。

一般成分組成表の各画分の解説

一般成分組成表の画分と植物細胞壁の構成物質の関係イメージ

粗蛋白質(CP)

粗蛋白質含量はケルダール法(試料中の含窒素化合物を硫酸分解してアンモニアとしたのち、アルカリ条件下の蒸留を行い、溜出するアンモニアを酸に吸着させ、これを滴定によって求める方法)によって定量した全窒素量に蛋白質へ換算する係数(窒素係数)を乗じて求める。一般に飼料蛋白質中の窒素含量は平均16.0%であるので、窒素係数として6.25を用いるが、脱脂粉乳や乾燥ホエーなどの牛乳由来飼料に限っては6.38を用いる。

粗脂肪(EE)

試料をジエチルエーテルで16時間抽出(ジエチルエーテル法)した成分を粗脂肪とする。この中には脂肪のほかに、リン脂質、コレステリン、遊離脂肪酸、脂溶性色素(クロロフィル、カロテノイドなど)、ロウなどが極少量含まれる。

可溶無窒素物(NFE)

水分(乾物中の場合は含まず)、粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維および粗灰分の総和(%)を100から差し引いて求めた値。この中には単少糖類、デンプンといった糖類のほかに、ヘミセルロース、リグニン、ペクチンの大部分とセルロースの一部、さらには有機酸、ゴム質、色素など多くの成分が含まれている。

粗繊維(CF)

主成分はセルロース。飼料の繊維を表すものとして歴史が古く、試料を1.25%硫酸、次いで1.25%水酸化ナトリウムで煮沸し、エチルアルコールおよびエチルエーテルで洗浄したのちの残さから、残存する粗灰分を除いたものの含量を粗繊維とする。繊維性成分のうち、ヘミセルロースやリグニン、ペクチンの大部分は酸、アルカリ処理時に可溶化して溶出するため、この画分には含まれない。

酸性デタージェント繊維(ADFom)

主成分はセルロースとリグニン。飼料の繊維性物質の一部分を表すもので、酸性デタージェント溶液(1Nの硫酸に2%の割合で臭化セチルトリメチルアンモニウムを溶解したもの)で試料を1時間煮沸処理し、得られた残さから残存する粗灰分を差し引いて求める。

中性デタージェント繊維(NDFom)

主成分はヘミセルロース、セルロース、リグニン。飼料中の総繊維含量を示す画分の一つで、現在最も一般的な反芻家畜用飼料の繊維を表す方法になっている。中性デタージェント溶液(ラウリル硫酸ナトリウムなどをpH7の緩衝液に溶解したもの)で試料を1時間煮沸し、得られた残さから残存する粗灰分を差し引いて求める。この測定法に対しこれまで多くの修正が加えられているが、日本標準飼料成分表(2009年版)では修正法の整理が十分に整っていない状態のため、今後数値の再構築が予想される。

粗灰分(CA)

試料を600℃で2時間灼熱灰化し残った残さを粗灰分とする。粗灰分の中には純灰分のほかに有機物残存炭疽、有機物の酸化で生じた炭酸ガスからの炭酸塩なども含まれる。

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別表

別表では、一般成分組成表にある牧草種の全ての記載が揃っていなくて残念ですが、番号は各表共通にして、どの牧草種に対する記載なのかがわかるように工夫しました。

なお、表中の「-」は信頼できる測定値が得られなかった項目に対して記載されたものとのことで、0であることを意味するものではありません。

無機質含量(乾物中)

無機質含量表で注目して見てもらいたいと思うのはカルシウムとリンのバランスで、比率の不均衝は各元素の欠乏と同様に有害といわれています。

カルシウムとリンの理想的なバランスは動物種によって異なり、チンチラの場合のカルシウムとリンの比率は1:1から2:1であることが望ましいと考えられています。

No.
飼料名
乾物
DM
(%)
カルシウム
Ca
(%)
全リン
P
(%)
マグネシウム
Mg
(%)
カリウム
K
(%)
ナトリウム
Na
(%)
塩素
Cl
(%)
イオウ
S
(%)

Fe
(mg/kg)

Cu
(mg/kg)
コバルト
Co
(mg/kg)
亜鉛
Zn
(mg/kg)
マンガン
Mn
(mg/kg)
フッ素
F
(mg/kg)
モリブデン
Mo
(mg/kg)
ヨウ素
I
(mg/kg)
G02 チモシー(1番草・出穂期) 85.9 0.49 0.27 0.16 1.87 0.64 0.21 200 8.7 0.06 27 145 0.3
G03 チモシー(1番草・開花期) 85.2 0.25 0.13 0.09 0.88 0.15
G06 チモシー(再生草・出穂期) 83.5 0.44 0.31 0.15 1.68 0.47
G07 輸入チモシー(全サンプルの平均値) 88.9 0.31 0.18 0.12 1.63
G11 輸入チモシーストロー 90.3 0.26 0.09 0.08 1.00
G13 オーチャードグラス(1番草・出穂期) 83.7 0.39 0.23 0.14 2.07 0.02 0.72 0.22 100 7.0 0.06 21 136 0.2
G16 オーチャードグラス(再生草・出穂前) 84.1 0.39 0.45 0.26 2.56 0.02 94 7.8 0.02 25 89
G19 イタリアンライグラス(1番草・出穂期) 85.8 0.52 0.33 0.20 3.16 0.07 1.24 0.20 995 8.2 0.65 36 94
G20 イタリアンライグラス(1番草・開花期) 86.1 0.53 0.23 0.19 2.27 0.10 1.22 0.20 928 8.2 0.94 32 87
G21 イタリアンライグラス(1番草・結実期) 86.5 0.59 0.20 0.16 1.80
G23 イタリアンライグラス(再生草・出穂前) 85.9 0.66 0.42 0.21 3.90
G24 イタリアンライグラス(再生草・出穂期) 84.8 0.47 0.36 0.20 3.67 0.04 174 19.8 0.51 33 135
G30 オーツヘイ(出穂期) 84.1 0.19 0.18 0.11 2.25
G31 オーツヘイ(開花期) 81.2 0.19 0.19 0.11 1.88 0.17 0.52 500 4.4 0.07 75
G32 輸入オーツヘイ(全サンプルの平均値) 88.0 0.22 0.17 0.14 1.52
G37 輸入バミューダグラス 90.9 0.52 0.18 0.19 1.88
G41 輸入スーダングラス(全サンプルの平均値) 89.6 0.43 0.22 0.32 2.42
G47 輸入トールフェスク 87.9 0.29 0.13 0.16 2.26
G50 輸入カラードギニアグラス 90.6 0.38 0.24 0.32 2.58
L02 アルファルファ(1番草・開花期) 83.2 1.25 0.23 0.30 2.08 0.15 0.38 0.30 200 13.4 0.09 32
L05 輸入アルファルファ(全サンプルの平均値) 88.8 1.33 0.24 0.27 2.61
L09 輸入アルファルファヘイキューブ(全サンプルの平均値) 87.9 1.66 0.25 0.35 2.50 0.17 0.79 0.37 500 9.2 0.17 27 39
L12 輸入アルファルファミール(デハイ) 90.7 1.73 0.25 0.34 2.07 0.10 500 8.3 0.39 24 33 0.26
L14 アカクローバ(1番草・開花期) 82.7 1.65 0.24 0.37 2.31 0.07 0.42 0.22 200 11.0 0.15 33 75 6 0.8
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酵素分析法繊維画分の含量(乾物中)

酵素分析法は、飼料を酵素処理することで細胞壁と細胞内容物に分ける繊維成分の分析法で、繊維中に残存する蛋白質を多く除去できる点に優れ、細胞壁構成成分の消化性についても測定ができることから、家畜(牛)の飼料の栄養価や採食量を推定するのに活用されているのですが、日本標準飼料成分表(2009年版)に記載されているデータ数は少なく、国産乾草に関しては記載がありませんでした。

飼料の総繊維含量を示す画分には、一般的に中性デタージェント繊維(NDF)と細胞壁物質(OCW)の二つが用いられていますが、中性デタージェント繊維(NDF)はセルロース、ヘミセルロース、リグニンが主成分なのに対し、酵素分析法による細胞壁物質(OCW)はセルロース、ヘミセルロース、リグニンに加え、家畜にとって易利用性炭水化物のペクチンを含む ため、NDF<OCWの関係が成り立ちます。

測定上の問題によるものなのか、この関係が実現していない飼料も見受けられますが、牧草などの粗飼料ではNDF含量とOCW含量にはほとんど差がなく、NDF≒OCWと捉えられていることから、飼料中の総繊維は一般成分組成表の中性デタージェント繊維(NDF)を参考に確認していただき、細胞壁物質(OCW)は一段上のプラスαとして活用 してもらえるとよいと思います。

No.
飼料名
乾物
DM
(%)
細胞壁物質
OCW
(%)
高消化性繊維
Oa
(%)
低消化性繊維
Ob
(%)
中性デタージェント繊維
(対応する実測値)
NDFom
(%)
酸性デタージェント繊維
(対応する実測値)
ADFom
(%)
G07 輸入チモシー(全サンプルの平均値) 88.9 68.7 8.9 59.8 68.7 41.9
G27 輸入イタリアンライグラス 90.6 68.1 12.3 55.8 65.4 42.0
G28 輸入イタリアンライグラスストロー 91.1 71.3 11.8 59.5 70.0 42.5
G32 輸入オーツヘイ(全サンプルの平均値) 88.0 58.4 9.1 49.3 62.0 35.8
G37 輸入バミューダグラス 90.9 71.6 10.7 61.0 68.9 31.6
G38 輸入バミューダグラスストロー 92.0 71.5 9.2 62.2 66.7 29.6
G41 輸入スーダングラス(全サンプルの平均値) 89.6 69.6 14.8 54.8 68.0 39.2
G47 輸入トールフェスク 87.9 68.9 7.3 61.6 70.8 40.5
L05 輸入アルファルファ(全サンプルの平均値) 88.8 51.1 11.5 39.5 42.2 33.0
L09 輸入アルファルファヘイキューブ(全サンプルの平均値) 87.9 49.6 10.6 39.1 43.8 34.5

酵素分析法による繊維成分の画分(OCW、Oa、Ob)は実測値のあるものだけ示されています。ADFom、NDFomは測定試料に対応する実測値が示されているため、一般成分組成表の中の値と異なるものもあると書かれています。乾物(DM)の値は、一般成分組成表の値を参考としてそのまま記しています。

酵素法繊維画分の解説

一般成分組成表の画分と分析法ごとに含まれる植物細胞壁の構成物質の違いのイメージ

細胞壁物質(OCW)

酵素分析法によって飼料中の細胞壁有機物全体を捕えようとするもので、α-アミラーゼ、プロテアーゼ溶液(リン酸緩衝液に溶解)で試料を処理することによって得られる。飼料中の総繊維は、NDF(中性デタージェント繊維)とOCW(細胞壁物質有機物画分)で示されるのが一般的で、NDF ≒ OCWと捉えられているが、NDFの主成分はセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンであるのに対し、OCWはセルロース、ヘミセルロース、リグニンに加え、ペクチンを含む。

OCW=Oa+Ob

高消化性繊維(Oa)

家畜(牛)のルーメン(第1胃)内での繊維の分解のしやすさを示す指標として使われる画分で、OCWからObを差し引いて求める。Oaは高消化性繊維区分。

低消化性繊維(Ob)

家畜(牛)のルーメン(第1胃)内での繊維の分解のしやすさを示す指標として使われる画分で、OCWをセルラーゼ溶液(酢酸緩衝液に溶解)で処理することによって得られる。Obは低消化性繊維区分。

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糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)と繊維成分含量(乾物中)

糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)と繊維成分含量の表では、またADF(酸性デタージェント繊維)やNDF(中性デタージェント繊維)、CF(粗繊維)が登場しますが、この中で見てもらいたいのは、糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)の値です。

炭水化物は糖質と食物繊維の総称であることはよくご存じのことと思いますが、糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)をわかりやすく言い換えると糖質にあたるもので、家畜にとって易利用性炭水化物の総量を示す画分です。

繊維性成分を除いた炭水化物を示す画分というと、非繊維性炭水化物(NFC)や非構造性炭水化物(NSC)が代表的ですが、非繊維性炭水化物(NFC)はペクチンを含むのに対して、非構造性炭水化物(NSC)はペクチンを含まないといった違いがあります。

NCWFEは非構造性炭水化物(NSC)と同じようにペクチンを含まず、糖・デンプン・有機酸類を意味するものとして、しばしば繊維を除いた炭水化物を表す場合に用いられています。

家畜には利用されやすい糖・デンプン・有機酸類ですが、チンチラの場合はデンプンの分解・消化が得意ではなく、でんぷんの過剰摂取は胃腸の蠕動運動の低下を招いたり、うっ滞や鼓脹症など消化器疾患の原因になるといわれています。

糖・デンプン・有機酸類の含量は牧草種によって結構差があるんだな~と感じるので、牧草種によっては量を調整するなど工夫が必要だと思います。

No.
飼料名
乾物
DM
(%)
糖・デンプン・有機酸類
NCWFE
(%)
中性デタージェント繊維
NDFom
(%)
酸性デタージェント繊維
ADFom
(%)
粗繊維
CF
(%)
G01 チモシー(1番草・出穂前) 89.4 16.1 55.6 31.1 26.5
G02 チモシー(1番草・出穂期) 85.9 15.6 64.8 39.7 33.6
G03 チモシー(1番草・開花期) 85.2 16.3 68.1 42.7 36.2
G04 チモシー(1番草・結実期) 81.3 9.2 71.0 45.5 38.5
G05 チモシー(再生草・出穂前) 87.3 22.7 54.2 29.8 25.4
G06 チモシー(再生草・出穂期) 83.5 16.6 64.4 39.3 33.3
G12 オーチャードグラス(1番草・出穂前) 93.8 20.8 49.6 25.4 21.9
G13 オーチャードグラス(1番草・出穂期) 83.7 12.0 64.4 39.3 33.3
G14 オーチャードグラス(1番草・開花期) 84.4 10.1 69.9 44.4 37.6
G15 オーチャードグラス(1番草・結実期) 83.8 17.1 72.0 46.4 39.2
G16 オーチャードグラス(再生草・出穂前) 84.1 12.1 58.3 33.5 28.5
G17 オーチャードグラス(再生草・出穂期) 88.5 9.1 61.9 36.9 31.4
G18 イタリアンライグラス(1番草・出穂前) 84.3 25.0 44.5 20.6 17.9
G19 イタリアンライグラス(1番草・出穂期) 85.8 13.1 64.2 39.4 33.2
G20 イタリアンライグラス(1番草・開花期) 86.1 14.7 66.0 40.8 34.6
G21 イタリアンライグラス(1番草・結実期) 86.5 9.9 70.4 43.1 36.5
G23 イタリアンライグラス(再生草・出穂前) 85.9 17.4 51.1 26.9 23.1
G24 イタリアンライグラス(再生草・出穂期) 84.8 25.6 59.6 34.8 29.6
G25 イタリアンライグラス(再生草・開花期) 83.5 12.1 66.7 41.4 35.1
G26 イタリアンライグラス(再生草・結実期) 80.0 12.9 67.3 42.0 35.6
G29 オーツヘイ(出穂前) 82.7 28.8 42.8 25.8 22.2
G30 オーツヘイ(出穂期) 84.1 22.5 53.1 32.0 27.6
G31 オーツヘイ(開花期) 81.2 9.5 67.7 40.8 35.2
G39 スーダングラス(1番草・出穂期) 84.5 19.1 62.5 38.2 32.9
G40 スーダングラス(再生草・出穂期) 89.6 20.3 61.4 37.5 32.3
G45 トールフェスク(1番草・出穂前) 83.7 18.1 56.6 32.0 27.4
G46 トールフェスク(1番草・出穂期) 84.5 14.6 67.3 42.0 35.6
L01 アルファルファ(1番草・開花前) 89.4 21.9 36.0 28.2 21.8
L02 アルファルファ(1番草・開花期) 83.2 20.3 44.0 35.5 28.7
L03 アルファルファ(再生草・開花前) 86.1 21.1 39.3 31.1 24.6
L04 アルファルファ(再生草・開花期) 86.9 19.9 45.0 36.4 29.6
L10 輸入アルファルファヘイキューブ(良質なもの) 87.4 19.5 40.3 32.0 25.5
L11 輸入アルファルファヘイキューブ(普及品) 89.2 17.5 45.6 36.9 30.0
L12 輸入アルファルファミール(デハイ) 90.7 18.4 39.3 31.2 20.3
L13 輸入アルファルファミール(サンキュア) 90.6 22.1 41.8 33.4 26.8

糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)画分の解説

糖・デンプン・有機酸類(NCWFE)

飼料中の糖・デンプン・有機酸等、家畜にとって易利用性の炭水化物の総量を示す画分で、一般成分の可溶無窒素物(NFE)含量から、この中に含まれる繊維成分含量を差し引いて求める。NFE中の繊維成分含量は総繊維から一般成分の粗繊維含量を差し引いて求めるが、総繊維中には粗蛋白質が少量含まれることから、この値を補正して、次の式で求める。

糖・デンプン・有機酸類 = NFE-(総繊維-総繊維中の粗蛋白質含量-粗繊維)。

NDFomとOCWの含量間には密接な相互関係があり、高い精度で両者の読み替えが可能であることから、この式での総繊維含量はNDFomの値を用いる。NDFomでは総繊維中の粗蛋白質含量のデータが少ないことことから、OCW中の粗蛋白質を基礎として、NDFom中の粗蛋白質含量に換算する。

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アミノ酸含量(乾物中)

アミノ酸含量については飼料作物部門では掲載数が少なく、乾草の場合は蛋白質含量の多い輸入アルファルファのみの記載となっておりますが、データを探している方もいらっしゃるかもしれないので、表にまとめます。

No.
飼料名
乾物
DM
(%)
粗蛋白質
CP
(%)
アルギニン
Argi­nine
(%)
グリシン
Gly­cine
(%)
ヒスチジン
Histi­dine
(%)
イソロイシン
Isoleu­cine
(%)
ロイシン
Leu­cine
(%)
リジン
Lys­ine
(%)
メチオニン
Methio­nine
(%)
シスチン
Cys­tine
(%)
フェニルアラニン
Phenyl­ala­nine
(%)
チロシン
Tyro­sine
(%)
トレオニン
Threo­nine
(%)
トリプトファン
Trypto­phan
(%)
バリン
Valine
(%)
セリン
Serine
(%)
プロリン
Pro­line
(%)
アラニン
Ala­nine
(%)
アスパラギン酸
Aspar­tic acid
(%)
グルタミン酸
Gluta­mic acid
(%)
L05 輸入アルファルファ(全サンプルの平均値) 88.8 19.1 0.84 0.86 0.37 0.77 1.32 0.94 0.26 0.23 0.91 0.79 0.31 0.97 0.80 1.30 0.96 2.17 1.71
L12 輸入アルファルファミール(デハイ) 90.7 18.2 0.78 0.84 0.37 0.72 1.29 0.84 0.23 0.19 0.88 0.49 0.74 0.30 0.93 0.76 0.92 0.88 1.95 1.59
L13 輸入アルファルファミール(サンキュア) 90.6 17.5 0.76 0.76 0.28 0.67 1.10 0.73 0.18 0.16 0.70 0.45 0.62 0.27 0.81 0.67

ビタミン含量(乾物中)

ビタミン含量の記載についても乾草部門での掲載件数が少なく、あるものでも「-」で示した欠測値が多いですが、こちらもデータを探されている方がいらっしゃるかもしれないので、下記にまとめました。

表中の全カロテンは、α、β、γなどの異性体を含む全カロテン含量で示されており、ビタミンEはα-トコフェロール当量で、ビタミンKはビタミンK1当量です。

チンチラはウサギやモルモット等と同様に食糞を行う動物で、繊維は盲腸内細菌の分泌する酵素によって分解された後、盲腸内細菌による発酵が行われ、これにより生成された揮発性脂肪酸はエネルギー源として速やかに吸収される一方、盲腸便として排出された盲腸内容物は、食糞されて再び栄養源として利用されます。

盲腸便は粘液で覆われた栄養たっぷりの軟便で、蛋白質やビタミンの中でも特にリボフラビンやパントテン酸などのビタミンB群を豊富に含んでいます。

チンチラと同じヤマアラシ顎下目 (Infraorder Hystricognathi)に属するモルモットが体内でビタミンCを合成できないことは有名ですが、チンチラはビタミンCを合成できる動物です。

多くの動物種において、ビタミンCがストレスによる悪影響を緩和することが報告されており、熱暑や過密飼育、輸送などのストレスが加わると、ビタミンCの合成がうまくいかず、血清中のビタミンC濃度が低下することがあるのだそうです。

このような状況下では、ビタミンCの補給が有益なことがあるようですが、ビタミン類はペレットにも含まれているので、日々の健康管理にサプリメントを与えるか悩むよりも、大容量のペレットは買わず、袋を開封して3ヵ月経ったら残っている場合でも廃棄するなど、ビタミン類が劣化した古いペレットを与えないように気を配るほうがよいんじゃないかな~と思います。

No.
飼料名
乾物
DM
(%)
全カロテン
Total carote­ne
(mg/kg)
ビタミンA
Vitamin A
(IU/kg)
ビタミンD
Vitamin D
(IU/kg)
ビタミンE
Vitamin E
(mg/kg)
ビタミンK
Vitamin K
(mg/kg)
チアミン
Thia­min
(mg/kg)
リボフラビン
Riboflavin
(mg/kg)
パントテン酸
Pantoth­enic acid
(mg/kg)
ナイアシン
Niacin
(mg/kg)
ピリドキシン
Pyrido­xine
(mg/kg)
ビオチン
Biotin
(mg/kg)
葉酸
Folic acid
(mg/kg)
コリン
Chol­ine
(mg/kg)
ビタミンB12
Vitamin B12
(mg/kg)
G02 チモシー(1番草・出穂期) 85.9 20 63 1.6 10.5 30 800
G02a チモシー(1番草・出穂期・人工乾燥) 89.4 185 230 1.4 9.9
G13 オーチャードグラス(1番草・出穂期) 83.7 30 248 2.0 6.9
G13a オーチャードグラス(1番草・出穂期・人工乾燥) 89.7 220
L02 アルファルファ(1番草・開花期) 83.2 42 426 2.9 11.2 31.3 38 0.35 6.31 1100
L12 輸入アルファルファミール(デハイ) 90.7 173 138 9.4 3.8 13.2 32.2 49 6.8 0.35 2.43 1600
L14b アカクローバ(1番草・開花初期) 82.7 40 100 126 2.7 16.4 43
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さいごに

最後までお読みいただきありがとうございます。

チンチラの主食である牧草(乾草)を選ぶ際に、国内大手メーカーの商品は商品パッケージに栄養成分が書いてあるものがほとんどだけど、牧草専門店など小規模なお店では記載のないものもあったりして残念に思ったこともあったのですが、日本標準飼料成分表を手元に置いてからは、おおよその栄養成分は自分で調べられるので、商品パッケージに栄養成分の記載があるかどうかを選ぶポイントにはしなくなりました。

必要な栄養素の割合や量はライフステージによって変化し、年齢や活動性、環境温度、去勢や避妊、疾病の有無などによっても変化するので一概にはいえませんが、成長期や妊娠出産期、授乳期ではタンパク質やカルシウムを多く必要とするのでマメ科のアルファルファを、維持期の場合は高繊維・低タンパク質のイネ科のチモシー牧の一番刈りをおすすめする意見を多く耳にします。

イネ科の牧草であれば牧草種を問わないという意見もありますが、一覧表で比較してみると、イネ科の牧草であっても栄養成分の含量割合に結構差があるな~と感じます。

個人的には、国産のイタリアンライグラスは生育段階によって差があるもののタンパク質含量が多いことが気にかかるし、オーツへイは糖・でんぷんの含量割合が多いと感じるので、メインとして与える牧草にはむいておらず、いつもの食事に変化をつける目的だったり、食いつきアップの目的でトッピングする牧草として利用するほうがよいと思っています。

また、マメ科のアルファルファはカルシウム含量が多いので維持期に与える牧草には向いていないという意見が多いですが、海外の獣医学書などをみていると、注視されているのはカルシウム含量が多いことよりも蛋白質含量が多いことだなぁと感じます。

カルシウム含量が多い食事が尿路結石の原因となるからアルファルファはよろしくないという話もよく聞きますが、チンチラは過剰なカルシウムの約80%を便に排泄し、尿からは約1~3%しか排泄されないという記述もあるので、個人的にはすごく疑問に思うところです。

何にしても、偏った食事は理想的とはいえず、バランスのとれた食事が一番で、チンチラにとってのバランスのとれた食事とは、繊維が豊富でその他の栄養素についても適度に含まれているものだと思います。

今回作成した牧草の栄養成分をまとめた一覧表が、日々の牧草を選ぶ際の検討材料として、また、牧草の献立を考える際のヒントとして活用していただけるといいな~と思います。

〖 この記事では下記を参考にさせて頂きました 〗

「日本標準飼料成分表(2009年版)」(社団法人中央畜産会 発行 / 2015.03 初版三刷)

「目で見る牧草と草地 最新版」(山下太郎 編著 / デーリィマン社 発行 / 2018.07 第3刷)

「FERRETS,RABBITS, and RODENTS: CLINICAL MEDICINE and SURGERY (FOURTH EDITION)」(KATHERINE E. QUESENBERRY, CONNIE J. ORCUTT, CHRISTOPH MANS, JAMES W. CARPENTER 著 / ELSEVIER 発行 / 2021)

「エキゾチック臨床 Vol.19 小型げっ歯類の診療」(三輪恭嗣 監修 / 株式会社学窓社発行 / 2020.11)

「チンチラの医学 第2回 「消化器疾患」」(霍野晋吉 著 / 月刊CAP No.359 株式会社緑書房発行 / 2019.5)

「エキゾチック臨床 Vol.6 ウサギの食事管理と栄養」(林典子・田川雅代 著 / 株式会社学窓社 発行 / 2012.6)

「DISEASES OF SMALL DOMESTIC RODENTS Second Edition」(V.C.G. RICHARDSON 著 / Blackwell Publishing 発行 / 2003)

農業技術辞典 NAROPEDIA by 農研機構 http://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/

全国酪農協会 http://www.rakunou.org/

畜産技術情報ゆきたねネット by 雪印種苗株式会社 https://livestock.snowseed.co.jp/public/